ご両親が高齢になり、ふと「介護」という言葉が現実味を帯びてくると、聞き慣れない単語や制度に戸惑うことがあります。要介護認定、ケアマネジャー、福祉用具、地域包括支援センター ── 言葉だけを並べても、その意味するところはなかなか掴みにくいものです。
本記事では、ご家族の介護に関わり始める前に、知っておくと安心できる言葉と仕組みを、現役世代の方に向けてできるだけやさしく整理してまいります。専門的な解説ではなく、最初の一歩を踏み出すための道しるべとしてお読みください。
要介護認定とは
ご本人がどの程度の介護を必要としているかを、市区町村が客観的に判定する仕組みです。判定の結果は、「自立」「要支援 1〜2」「要介護 1〜5」の段階に分かれます。数字が大きくなるほど、より多くの支援が必要と判定されたことを意味します。
要介護認定を受けると、介護保険サービス(後述)を 1〜3 割の自己負担で利用できるようになります。お住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または後述の地域包括支援センターで申請できますので、「最近、生活に不安を感じる場面が増えてきた」とご本人やご家族が思われたタイミングで、まず相談してみるとよいでしょう。
地域包括支援センター ── 最初の相談窓口
全国の市区町村に設置されている、高齢者の暮らしを総合的に支える相談窓口です。ご本人の状態や家族の状況に応じて、どんなサービスが使えるか、どこに繋いだらよいかを、専門の職員が無料で案内してくれます。
「介護のことを誰に相談したらよいか分からない」というご家族にとって、最初の入口として頼れる場所です。お住まいの市区町村の名前と「地域包括支援センター」を合わせて検索すると、最寄りの窓口の連絡先が見つかります。
ケアマネジャーとは
介護支援専門員という国家資格を持った専門職で、介護を必要とする方のために、どんなサービスをどう組み合わせて使うかという計画(ケアプラン)を一緒に考えてくれる存在です。
要介護認定を受けた後、ご本人やご家族と相談しながら、デイサービス、訪問介護、福祉用具の貸与など、必要なサービスを組み合わせていきます。ご家族にとっては、介護全体を一緒に考えてくれる伴走者のような存在になります。相性が合わなければ、途中でケアマネジャーを変更することも可能です。
介護保険サービスの種類
介護保険で利用できるサービスは、大きく次の 3 つに分かれます。それぞれの特徴を、ざっくり把握しておくと、ケアマネジャーとの相談がスムーズになります。
1 つ目は「居宅サービス」。ご自宅に住みながら利用できるサービスで、訪問介護(ホームヘルプ)、訪問看護、デイサービス、ショートステイなどがあります。2 つ目は「施設サービス」。特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、入所して受けるサービスです。3 つ目は「地域密着型サービス」。小規模多機能型居宅介護、グループホームなど、お住まいの市区町村内で利用するサービスです。
福祉用具の貸与・販売
介護用ベッド、車椅子、歩行器、手すりなど、日常生活を支える道具を、介護保険を使ってお借りしたり購入したりできる仕組みです。多くの品目はレンタルで、ご利用者の状態に応じて適切なものに切り替えていくことができます。
当社「株式会社狼煙」は、この福祉用具の貸与・販売を本業として、地域の高齢者の方々とそのご家族にお手伝いをさせていただいています。Norolu の Web サービスも、この現場での経験から生まれました。
ご本人の希望を、早めに聞いておく
介護が本格的に始まると、ご家族はさまざまな判断を求められる場面が増えます。どこで暮らしたいか、どんなケアを受けたいか、お金のことをどうしたいか ── そうした希望を、ご本人がお元気なうちに少しずつ伺っておくと、いざというときに迷いが少なくなります。
「いきなり書面に残してください」というのは、ご本人にとっても気が重いものです。ふだんの会話の中で、「もし将来、自宅で過ごすのが難しくなったら、どうしたい?」「お金のことは、誰に任せたい?」と、少しずつ伺っていく方が、自然な形で意思を残せます。
伺ったご希望は、市販のエンディングノートや、ふだん使いのノートに少しずつ書き留めておくと、ご家族で共有しやすくなります。一度にまとめようとせず、会話の折にひと言ずつ書き足していくくらいの気持ちで十分です。
介護という言葉は、はじめて関わるご家族にとっては大きく聞こえるかもしれません。けれども、ひとつひとつの言葉と仕組みを丁寧に紐解いていけば、それぞれが「ご本人とご家族の暮らしを支えるための道具」であることが見えてきます。
不安なことがあれば、まずは地域包括支援センターに足を運んでみてください。専門の方々が、状況に応じた次の一歩を一緒に考えてくれます。Norolu は、その先にあるご家族の時間を、少しでも温かなものにしていくお手伝いをしてまいります。