ご家族の介護は、ご本人を支える尊い営みです。けれども、支える側にも、心と体の負担は確かにかかります。「自分がしっかりしなければ」「家族のことは家族で」── そんな思いから、ひとりで抱え込み、気づけば自分のことを後回しにしてしまうご家族は、決して少なくありません。
介護は、長く続く営みです。支える人が無理を重ねて倒れてしまっては、ご本人の暮らしも立ちゆかなくなります。だからこそ、「介護する側が自分をいたわること」は、わがままでも手抜きでもなく、介護を続けていくための大切な土台です。本記事では、支えるご家族が無理なく続けられるための工夫と、頼れる先をご紹介します。
「ひとりで抱え込まない」を、最初の約束に
介護でいちばん避けたいのは、誰にも頼らず、ひとりですべてを背負ってしまうことです。責任感の強い方ほど、「人に頼るのは申し訳ない」と、自分だけで何とかしようとしてしまいます。けれども、それは長続きしません。
介護は、家族や親族で分担し、地域の専門職やサービスの手を借りながら、みんなで支えていくものです。「自分ひとりで全部やらなくていい」── まずはそう、自分自身に許可を出すことが、無理なく続けるための第一歩になります。
休む時間を、後ろめたさなく持つ
支える側にも、ほっと息をつく時間が必要です。自分の趣味を楽しむ、友人と会う、ただ何もせず休む ── そうした時間を持つことに、後ろめたさを感じる必要はまったくありません。
支える人が心にゆとりを取り戻すことは、結果として、ご本人にやさしく接する余裕にもつながります。「少し休む」ことは、介護から逃げることではなく、よりよい介護を続けるための、大切な備えです。短い時間でも、自分のための時間を意識して確保してください。
「レスパイトケア」という、休息の仕組みを知る
介護する家族が一時的に休めるよう支える仕組みとして、「レスパイトケア」があります。ショートステイ(短期間、施設に宿泊してお世話を受けるサービス)やデイサービスなどを利用して、支える側がまとまった休息を取れるようにする考え方です。
「自分が見ていなければ」と気を張り続けるよりも、こうした仕組みを上手に使うほうが、介護は長く続きます。利用できるサービスや手続きについては、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると、具体的に案内してもらえます。休むための仕組みが用意されていることを、どうか覚えておいてください。
気持ちを、ひとりで溜め込まない
介護を続けていると、気持ちが沈んだり、いら立ったり、ときには自分を責めたくなったりすることもあります。そうした感情は、まじめに向き合っているからこそ生まれるもので、決して恥ずべきことではありません。
大切なのは、その気持ちをひとりで溜め込まないことです。家族や友人に話を聞いてもらう、同じ立場の方が集まる場(介護者の会など)に参加する、専門の相談窓口を頼る ── 気持ちを言葉にして外に出すだけで、心は少し軽くなります。「つらい」と口にすることは、弱さではありません。
頼れる窓口を、あらかじめ知っておく
いざというときに頼れる先を、あらかじめ知っておくと、心の支えになります。地域包括支援センターは、介護のことを何でも相談できる、地域の総合窓口です。担当のケアマネジャーも、サービスの調整だけでなく、支えるご家族の悩みごとの相談に乗ってくれます。
また、各地には、介護をする家族どうしが経験を分かち合う「家族会」や、市区町村の相談窓口もあります。「こんなこと、相談してもいいのかな」とためらわず、まずは声をかけてみてください。頼れる先があると分かっているだけで、日々の心持ちは大きく変わります。
介護は、ご本人を支えると同時に、支えるご家族自身の暮らしも大切にしてこそ、長く続けていけます。ひとりで抱え込まず、休む時間を持ち、気持ちを溜め込まず、頼れる先を頼る ── それは、決してわがままではなく、介護を続けるための知恵です。
支えるあなた自身が、心と体を大切にすること。それが、ご本人にとっても、いちばんの安心につながります。どうか、自分をいたわることを忘れないでください。Norolu は、介護に向き合うご家族の毎日に、そっと寄り添ってまいります。