「なおしておいて」「えらい疲れた」── ご両親がふと口にする言葉に、はじめて聞く意味や、独特のイントネーションが混じっていて、おやと思ったことはありませんか。お国言葉、すなわち方言には、その土地で過ごした年月と、ご両親の温かな人柄が、そっとにじんでいます。
方言は、標準語にはない味わいと、なつかしさを運んでくれる言葉の宝物です。けれども、暮らしの中で意識しなければ、その響きや言い回しは、世代を経るごとに少しずつ薄れていきます。本記事では、ご両親のお国言葉を家族で楽しみ、未来へ受け継いでいくための工夫をご紹介します。
ふだんの会話の中の方言に、耳をすませる
方言を楽しむ第一歩は、ご両親のふだんの言葉に、あらためて耳をすませることです。聞き慣れているはずの言い回しも、「それ、どういう意味」と尋ねてみると、思いがけず奥行きのある言葉だったと気づくことがあります。
「その言葉、どこの言い方」「子どもの頃から使ってたの」と尋ねると、言葉にまつわる思い出話が広がります。同じものを指す言葉でも、地域によって、世代によって、呼び方はさまざまです。そうした違いを面白がることが、ご両親の語りを引き出すきっかけになります。
「わが家の言葉集」を作ってみる
ご両親が使うお国言葉を、少しずつ書きためて「わが家の言葉集」を作ってみるのも、楽しい試みです。言葉、その意味、使う場面を一行ずつ書き留めていくだけで、ご家庭ならではの方言帳ができあがります。
「この言葉、標準語だとどう言うの」「こういうときに使うんだよね」と確かめながら書きとめると、ご両親も張り合いを持って教えてくれます。一度に集めようとせず、会話の折に一語ずつ書き足していくくらいの気持ちで十分です。集まった言葉集は、ご家族にとって、世界にひとつだけの宝物になります。
方言の響きを、声で残す
方言の本当の味わいは、文字だけでは伝えきれません。独特のイントネーションや抑揚、言葉のリズムは、声でこそ生き生きと残せます。ご両親が方言で話すようすを、スマートフォンの録音アプリで残しておくと、文字の記録とはまた違った、温かな宝物になります。
あらたまって録音すると照れてしまうものですから、ふだんのおしゃべりや昔話を聞かせてもらうついでに、そっと残しておくのがおすすめです。録音は、ご本人の了解を得たうえで、家族の私的な記録として残しましょう。何年か経って聞き返すと、言葉の響きとともに、ご両親の人柄まで、ありありとよみがえります。
孫と一緒に、方言を面白がる
お孫さんにとって、おじいさま・おばあさまのお国言葉は、新鮮で愉快な発見の連続です。「その言い方、面白い」と孫が笑い、「これはこう言うんだよ」と祖父母が教える ── そんなやり取りは、世代を超えた交流の、楽しいきっかけになります。
方言には、その土地の言葉ならではの、やわらかさや温かみがあります。お孫さんがおじいさま・おばあさまの言葉を覚えて、まねして使ってみる。それだけで、離れていても心が近づき、家族の言葉が次の世代へと、自然な形で受け継がれていきます。
言葉とともに、その人の生きた時代を受け継ぐ
お国言葉を受け継ぐことは、単に珍しい言い回しを覚えることではありません。ひとつの言葉の向こうには、ご両親が育った土地の暮らし、その時代の空気、人々のつながりが広がっています。言葉を受け継ぐことは、ご両親の生きてきた時代ごと、受け取ることでもあります。
なつかしい言葉や昭和・平成の暮らしを話題にするきっかけとして、当社の「思い出ドリル」のような Web アプリを家族で囲んでみるのもおすすめです。なつかしい話題をきっかけに、「そういえば、こんな言葉も使ったね」と、ご両親のお国言葉をめぐる会話が、いっそう豊かに広がっていきます。
ご両親のお国言葉は、その土地と時代が育んだ、かけがえのない家族の宝物です。ふだんの会話に耳をすませ、言葉を書きため、声で残し、孫と一緒に面白がる ── どれも、楽しい語らいとともに続けられる、心あたたまる営みばかりです。
方言の響きの中には、ご両親が歩んでこられた人生が、やさしく息づいています。その言葉を家族で慈しみ、次の世代へ手渡していくことが、世代を超えたつながりを、より確かなものにしてくれます。Norolu は、ご家族の言葉と思い出を未来へつなぐお手伝いを、これからも続けてまいります。