ご両親が、これまでどんな人生を歩んできたか ── その物語を、あなたはどれくらいご存じでしょうか。子ども時代のこと、若い頃の夢、出会いや別れ、仕事のこと。身近な存在だからこそ、改まって聞く機会のないまま過ぎてしまいがちです。
ご両親の人生の物語は、ご家族にとってかけがえのない財産です。それを「聞き書き」── ご本人の語りに耳を傾け、言葉として書き残していく営み ── という形で残してみませんか。本記事では、構えずに始められる、聞き書きのやさしいはじめ方をご紹介します。
聞き書きとは、どんな営み?
聞き書きとは、ある人の語る話に耳を傾け、その言葉をできるだけそのままに書き残していく営みです。立派な文章にまとめることが目的ではなく、ご本人が語った言葉や言い回し、その人らしさを、ありのままに残すところに価値があります。
難しく考える必要はありません。ご両親の話を聞き、印象に残った言葉を書き留めていく ── それだけで、立派な聞き書きの第一歩です。上手にまとめようとせず、ご本人の声を大切にすくいとる。その姿勢があれば、誰にでも始められます。
時系列に沿って、少しずつ聞いていく
何から聞けばよいか迷ったら、人生の時間の流れに沿って尋ねていくのがおすすめです。「生まれ育った場所」「子どもの頃の思い出」「学生時代」「仕事を始めた頃」「家庭を持った頃」── と、年代ごとに区切って聞いていくと、ご本人も思い出しやすくなります。
一度にすべてを聞こうとせず、一回の語らいではひとつの時代に絞るくらいが、ちょうどよい分量です。「今日は子ども時代の話を聞かせて」と区切れば、ご本人も話に集中でき、聞くほうも記録しやすくなります。何回かに分けて、ゆっくり進めていきましょう。
話を引き出す、問いかけのコツ
「どんな人生だった?」という大きな問いは、かえって答えにくいものです。話を引き出すコツは、具体的な場面を尋ねることにあります。「いちばん古い記憶は?」「子どもの頃、どんな遊びをした?」「はじめてのお給料で何を買った?」── 場面が絞られているほど、記憶は鮮やかに蘇ります。
答えが返ってきたら、すぐに次の質問へ進まず、「それで、どうなったの?」「そのとき、どんな気持ちだった?」と、もう一歩踏み込んでみてください。出来事だけでなく、そのときの思いまで聞けると、物語はぐっと深みを増します。聞き手が興味を持って耳を傾けること ── それが、何よりも話を引き出します。
録音と書き留め、どちらも味方にする
語りを記録する方法は、メモと録音を組み合わせるのが便利です。話の最中はすべてを書き取ろうとせず、印象に残った言葉や、あとで確かめたい点だけをメモしておく。スマートフォンの録音アプリで音声を残しておけば、あとからゆっくり聞き返して書き起こせます。
録音は、必ずご本人の了解を得てから行いましょう。「あとで聞き返して、ちゃんと残したいから」と伝えれば、ご両親も安心して話してくださいます。声そのものには、文字では伝わらない温もりがあります。語り口、笑い声、言葉の間 ── そうしたものまで残せることが、録音の大きな利点です。
聞き書きを、一冊の形にまとめる
聞き書きを重ねたら、それを一冊の形にまとめると、ご家族みんなで読み継げる宝物になります。時代ごとに章を分け、印象的な言葉や写真を添えれば、ご両親の人生をたどる、世界にひとつの物語が出来上がります。
とはいえ、白紙から聞き書きを始め、一冊にまとめるのは、慣れていないとなかなか大変です。当社の「親子伝」は、人生を振り返る問いをあらかじめご用意し、答えを書き進めていくだけで一冊にまとまる、聞き書きを支えるサービスです。「何を聞けばよいか分からない」という方も、問いに沿って進めるだけで、ご両親の物語を無理なく形にしていただけます。聞き書きのはじめの一歩として、ご活用ください。
聞き書きは、ご両親の人生の物語を未来へ残すと同時に、聞き手であるご家族にとっても、これまで知らなかったご両親の姿に出会う豊かな時間になります。問いかけ、耳を傾け、言葉を書き留める ── その一つひとつが、ご家族の絆を深めていきます。
「いつか聞いておこう」と思っているうちに、機会は静かに過ぎていきます。まずは一度、お茶でも飲みながら、ご両親の子ども時代の話を尋ねてみてください。その小さな一歩が、かけがえのない物語の始まりになります。Norolu は、ご家族のその営みを、そっと支える道具をご用意してまいります。