ご実家の押し入れや戸棚に、長い間しまったままのアルバムはありませんか。封筒に入ったまま束になった写真、台紙からはがれかけたスナップ ── そこには、ご家族が歩んでこられた時間が、そのまま閉じ込められています。けれども写真は、年月とともに少しずつ色あせ、湿気や日差しで傷んでいきます。
「いつか整理しよう」と思いながら、つい後回しにしてしまいがちな古い写真。ご両親がお元気なうちに、一緒に少しずつ手をつけておくと、整理そのものが豊かな思い出話の時間になります。本記事では、写真とアルバムを無理なく整理し、色あせる前にデジタルへ残していくための工夫を、順を追ってご紹介します。
まずは「ひと箱」から ── 完璧を目指さない
古い写真の整理でいちばんつまずきやすいのが、「全部を一度にやろう」とすることです。何十年分もの写真を前にすると、その量に圧倒されて、つい手が止まってしまいます。まずは、アルバム 1 冊、あるいは写真の入った箱 1 つ ── そう決めて、小さく始めてみてください。
一度にすべてを完璧に分類しようとしなくて大丈夫です。「これは残す」「これは迷う」「これはお別れ」と、ゆるやかに三つに分けるくらいでちょうどよいでしょう。迷ったものは無理に決めず、「保留」の箱に入れておけば十分です。少しずつ進めるからこそ、最後まで続けられます。
「いつ・どこで・だれ」を、親と一緒に書き添える
写真整理のいちばんの宝物は、写真そのものよりも、ご両親の記憶の中にあります。一枚の写真に写っているのが「いつ・どこで・だれ」なのか ── それを知っているのは、その時代を生きてこられたご本人だけです。アルバムをめくりながら、「これは誰のお祝い?」「この場所はどこ?」と尋ねてみてください。
写真の裏に鉛筆でそっと日付や名前を書き添えたり、付箋にメモを残したりしておくと、一枚の写真が「家族の記録」へと変わります。何十年か先、お孫さんの世代がその写真を手に取ったとき、家族の物語として受け継がれていきます。この書き添えのひとときこそ、写真整理がもたらしてくれる、いちばんあたたかい時間です。
色あせる前に、デジタルに取り込む
紙の写真は、どんなに大切にしまっていても、少しずつ色あせていきます。お気に入りの一枚から、デジタルに取り込んで残しておくと安心です。特別な機械は必要ありません。明るい場所で、スマートフォンのカメラを使い、写真を真上から撮るだけでも、じゅうぶんきれいに残せます。
枚数が多いときは、写真の取り込み用の無料アプリや、家庭用のスキャナを使うと、よりくっきりと保存できます。一度に何百枚もこなそうとせず、「今日は 10 枚まで」と区切って進めるのがコツです。取り込んだ写真は、二か所以上 ── たとえばスマートフォンと、もう一つの保存先 ── に控えを残しておくと、もしものときにも安心です。
離れていても見られるように、家族で共有する
デジタルにした写真は、離れて暮らすご家族とも、かんたんに分かち合えるのがうれしいところです。家族だけが見られる共有アルバムのアプリやクラウドサービスを使えば、実家のご両親が選んだ一枚を、子や孫がそれぞれの場所で同じように楽しめます。
「この写真、覚えてる?」とひと言添えて送り合えば、写真は離れた家族をつなぐ会話のきっかけになります。お孫さんの今の写真と、ご両親の若い頃の写真を並べてみると、面影の重なりに気づいて話がはずむこともあるでしょう。共有することで、思い出は家族みんなのものになっていきます。
一冊のフォトブックに、形として残す
整理した写真の中からお気に入りを選んで、一冊のフォトブックにまとめてみるのもおすすめです。近ごろは、スマートフォンで選んだ写真を注文するだけで、手のひらサイズの写真集を手軽に作れるサービスがあります。手に取れる「本」になった思い出は、画面の中で見るのとはまた違う、特別なあたたかさを持っています。
誕生日や敬老の日、長寿のお祝いの贈り物としても、家族の写真を集めた一冊はきっと喜ばれます。ご両親の歩みをたどる一冊、お孫さんの成長をまとめた一冊 ── テーマを決めて作ると、世界に一つだけの贈り物になります。完成した本を一緒にめくる時間が、また新しい思い出話を連れてきてくれます。
古い写真の整理は、単なる片づけではありません。一枚一枚に手を止め、「これはあの日の写真だね」と語り合う ── そのひとときは、ご家族が歩んでこられた時間を、もう一度たどり直す小さな旅のようなものです。色あせる前に、お元気なうちに。ひと箱から、どうぞゆっくりと始めてみてください。
Norolu は、ご家族が思い出を語り合い、次の世代へ手渡していく時間を応援しています。写真をきっかけになつかしい話に花が咲いたら、昭和・平成の話題を 3 択クイズで楽しむ「思い出ドリル」も、ご家族の会話のおともにご活用ください。