電話やはがき、メールを使って人をだまし、お金をだまし取ろうとする ── そうした詐欺の手口は、年々巧妙さを増しています。狙われるのは特別な人ではありません。「自分は大丈夫」「うちの親に限って」と思っている方ほど、いざというとき身構えが間に合わないこともあります。
大切なご両親を守るために、ご家族にできることはたくさんあります。本記事では、知っておきたい代表的な手口と、落ち着いて備えるためのポイントを、事実にもとづいて整理してご紹介します。特別な道具はいりません。家族で手口を共有し、合言葉を決めておく ── その小さな備えが、何よりの防波堤になります。
「うちは大丈夫」と思う前に、手口を知る
詐欺を仕掛ける側は、言葉巧みに不安をあおり、考える間を与えずに行動を迫ってきます。「今すぐ手続きしないと大変なことになる」「このことは誰にも言わないで」── そう急かされると、ふだんは慎重な人でも、つい平静を失ってしまうものです。だまされることは、決して恥ずかしいことでも、特別なことでもありません。
だからこそ、どんな手口があるのかを、家族みんながあらかじめ知っておくことが大切です。手口を知っていれば、「あ、これはあのパターンかもしれない」と立ち止まれます。ご両親を責めるためではなく、一緒に身を守るために ── そんな前向きな気持ちで、家族の話題にしてみてください。
代表的な手口を、家族で共有しておく
よく知られた手口に、家族や公的機関を装って電話をかけ、お金を求めるものがあります。「事故を起こした」「会社のお金を使い込んだ」と家族を装って慌てさせるもの、「還付金がある」と役所の職員を装ってお金を動かそうとするもの、身に覚えのない料金を請求するはがきやメールなど、その形はさまざまです。
近年は、スマートフォンのメッセージや、本物そっくりのサイトに誘い込む手口も増えています。共通しているのは、「お金やカードの話」「急かす」「他言を禁じる」という特徴です。こうした合図が出てきたら要注意、ということを家族の共通認識にしておくと、いざというとき冷静になれます。
「すぐ家族に確認」を、合言葉にする
詐欺を防ぐいちばんの備えは、「お金やカードの話が出たら、即決せず、必ず家族に相談する」という習慣です。あらかじめ家族で「こういう電話が来たら、まず私に連絡してね」と約束しておくだけで、被害を未然に食い止められる場面はぐっと増えます。
電話そのものへの備えも有効です。在宅中でも留守番電話にしておけば、見知らぬ相手と直接話さずに済み、相手も証拠が残るのを嫌って引き下がりやすくなります。本当に家族からの急ぎの連絡なら、必ず折り返せます。「知らない番号には出ない・出てもすぐ切る」を、ご家族でのゆるやかな取り決めにしておくとよいでしょう。
お金の話を、ふだんから家族でできる関係に
ふだんからお金の話を家族でしにくい雰囲気があると、いざ不審な誘いを受けたときも、ご本人は一人で抱え込んでしまいがちです。「お金のことを家族に話すと心配をかける」と感じさせないよう、日ごろから気軽に相談し合える関係を育てておくことが、何よりの守りになります。
「最近、こんな詐欺があるんだって」と、ニュースの話題として持ち出すのも自然な入口です。責めるのではなく、「一緒に気をつけようね」という姿勢で語り合えば、ご本人も「何かあったら相談しよう」と思えます。お金の話を家族で交わす習慣そのものについては、別の記事でもご紹介していますので、あわせて参考にしてください。
困ったときの相談先を、決めておく
「これはおかしいかもしれない」と感じたとき、すぐに相談できる先をあらかじめ決めておくと安心です。警察には、緊急ではない相談のための専用電話「#9110」があります。消費生活に関するトラブルは、全国共通の「消費者ホットライン 188(いやや)」で、お住まいの地域の相談窓口につないでもらえます。
また、地域包括支援センターも、高齢者を狙ったトラブルの相談に乗ってくれます。これらの連絡先を、電話のそばや冷蔵庫など目につくところに貼っておくと、いざというときにご本人も家族もすぐ動けます。万一だまされてしまっても、早く相談するほど打てる手は増えます。一人で抱え込まず、すぐに相談する ── それを家族の約束にしておいてください。
詐欺の手口は巧妙でも、家族の備えで防げる場面はたくさんあります。手口を知り、すぐ家族に確認する習慣をつくり、お金の話をしやすい関係を育て、相談先を決めておく ── ひとつずつ重ねた備えが、大切なご両親を守る確かな防波堤になります。
大切なのは、ご本人を責めず、家族みんなで力を合わせて守るという姿勢です。Norolu は、ご家族が安心して言葉を交わし、支え合える関係づくりのお手伝いを、これからも続けてまいります。