庭先につながれた犬、縁側で日向ぼっこをする猫、玄関先の水槽で泳ぐ金魚。かつてどの家庭にも、家族と一緒に暮らす生き物の姿がありました。言葉を交わせなくても、ペットは家族の一員として暮らしのそばに寄り添っていたものです。
ペットと過ごした日々の思い出は、ご両親との会話を温かく和ませてくれる話題です。あの子の名前やしぐさを手がかりに、ご両親と懐かしいペットの思い出をふりかえる。その楽しみ方を書きました。
あの子の名前と、その由来を尋ねる
ペットの思い出を聞くなら、まずはその子の名前と名づけの由来を尋ねてみてください。名前には、家族のその子への思いがそのままこもっています。
「どうして『シロ』っていう名前にしたの?」「名前は誰がつけたの?」。毛の色からとった素朴な名前や、子どもがどうしても譲らなかった名前、近所でもらってきた日に決めた名前。名前にまつわる小さなエピソードから、その子を迎えた日の情景がよみがえってきます。
一緒に暮らした日々の風景を思い出す
次に、その子と一緒に暮らした日々の風景を場面ごとに思い出してもらいましょう。何気ない日常のひとコマにこそ忘れがたい思い出が宿っています。
学校から帰ると尻尾を振って迎えてくれた犬、こたつにもぐり込んで離れなかった猫、肩にとまって言葉を覚えた文鳥やインコ。散歩の道すじ、好物のおやつ、いたずらをして叱られたこと。語るうちに、その子のしぐさや鳴き声までありありとよみがえってくるものです。
昔と今の、ペットとの暮らしをくらべる
ペットの話は、昔と今の暮らし方をくらべると世代を超えて話が弾みます。生き物との付き合い方も時代とともに変わってきたからです。
昔は、犬は番犬として庭でつなぎ、残りご飯を与えるのが当たり前でした。今は、室内で家族同様に暮らし、専用のごはんや動物病院の世話も行き届いています。「昔の犬は、みんな雑種で逞しかったね」「名前も『ポチ』や『クロ』が多かった」。そんな昔と今のくらべ話も楽しい思い出話になります。
別れの記憶にも、そっと寄り添う
ペットの思い出には別れの記憶もつきものです。悲しい話題でもあるので、ご本人の気持ちに寄り添いながらそっと耳を傾けてください。
庭の隅に埋めて、小さなお墓を作って手を合わせたこと。家族みんなで泣いた日のこと。別れの記憶は、それだけその子が深く愛されていた証でもあります。「いい子だったね」「幸せだっただろうね」と、その子を一緒にしのぶ時間は、ご両親にとって心が安らぐひとときになります。語りたくない様子のときは無理に踏み込まず、静かに見守りましょう。
ペットの思い出を、写真とともに残す
ご両親が語ってくれたペットの思い出は、古い写真とともに残しておくと家族の宝物になります。アルバムの中から、その子が写った一枚を探してみてください。
色あせた写真の余白に、名前や暮らした年月、思い出のひとことを書き添えるだけでも立派な記録になります。お孫さんに「おじいちゃんは昔、こんな犬を飼っていたんだよ」と伝えるよいきっかけにもなります。なつかしい思い出話で会話を広げたいときには、昭和・平成のテーマを3 択クイズで楽しめる『思い出ドリル』のような Web アプリを一緒に囲むのも心和むひとときになります。
ペットと過ごした日々をふりかえることは、その子が確かに家族の一員だったことをもう一度かみしめる時間でもあります。言葉を持たない存在だからこそ、その思い出は理屈を超えて家族の心を温かくつなぎます。
次にご両親に会うとき、「昔、どんな動物を飼っていたの?」と尋ねてみてください。忘れていたあの子のしぐさや、家族で笑い合った日々がきっと次々とよみがえってきます。その物語に耳を傾ける時間がかけがえのないひとときになります。