古いアルバムをめくると、海辺ではしゃぐ子ども時代の自分や、若かりし日のご両親の笑顔が現れます。家族で出かけた旅行は、写真を一枚見ただけで、その日の天気やにおいまでよみがえってくるほど鮮やかな記憶として残っているものです。
そうした旅の思い出は、ご両親との会話を温かく広げてくれる尽きることのない話題の宝庫です。古いアルバムやおみやげを手がかりに、ご両親と一緒に懐かしい旅をもう一度たどる。その楽しみ方を書きました。
古いアルバムを、一緒にめくってみる
旅の思い出をたどる入口として、まずは古いアルバムをご両親と一緒にめくってみるのがいちばんです。一枚の写真が芋づる式に記憶を呼び起こしてくれます。
「これ、どこの海だったかな」「このとき、お兄ちゃんが迷子になったんだよね」。写真をきっかけに、その場にいた家族それぞれの記憶が重なり合い、忘れていた出来事がよみがえります。色あせた一枚や、ピントのぼけた写真にこそ思いがけない物語が隠れているものです。
おみやげや旅の品が、記憶の扉を開く
写真だけでなく、旅先で買ったおみやげや記念の品も記憶の扉を開く立派な手がかりになります。家の押し入れや棚を一緒に探してみてください。
観光地の名前が入ったペナント、こけしや提灯、温泉まんじゅうの包み紙をとっておいたもの。旅館でもらったマッチ箱や、観光バスのしおり。そうした品を手に取ると、「これはあの旅行で買ったんだ」と当時の情景が一気によみがえります。お子さんやお孫さんにとっては、見たことのない品物そのものが新鮮な驚きになります。
昔の旅と今の旅を、くらべて楽しむ
懐かしい旅の話は、昔と今の旅のしかたをくらべるといっそう盛り上がります。移動も宿も今とはずいぶん違っていたからです。
国鉄の周遊券を握りしめて乗った夜行列車、座席で食べた駅弁とお茶、旗を持った添乗員さんについて歩いた観光バスの旅。宿は民宿や国民宿舎が定番で、大広間にみんなで雑魚寝したこともありました。「今はスマートフォンで宿も切符も予約できるけれど、昔はどうしていた?」と尋ねれば、昔と今をくらべる楽しい昔話に広がっていきます。
あの旅の行き先を、もう一度たどってみる
思い出話が弾んだら、当時訪れた場所をもう一度たどってみるのも素敵な過ごし方です。同じ場所に立つと、何十年も前の記憶が鮮やかによみがえります。
もちろん、遠出が難しいこともあります。その場合は、地図やインターネットの航空写真で当時の行き先を眺めるだけでも十分に旅気分を味わえます。「あの旅館はまだあるかな」「駅前はすっかり変わったね」と画面を一緒にのぞき込む時間も心温まるひとときです。なお、ご高齢のご家族との外出を計画するときは、体調や移動の負担に無理がないよう、ゆとりのある日程を心がけてください。
たどった思い出を、新しい形で残す
ご両親と一緒にたどった旅の思い出は、新しい形で残しておくと家族みんなで何度でも楽しめます。語り合った内容を写真とともにまとめてみましょう。
古いアルバムの写真をスマートフォンで撮り直してデータにしたり、印象に残った思い出話を短い文章で書き添えたり。離れて暮らすご家族と、なつかしい旅の話題で会話を広げたいときには、昭和・平成のテーマを3 択クイズで楽しめる『思い出ドリル』のような Web アプリを一緒に囲むのもよいきっかけになります。
家族旅行の思い出をたどることは、ただ懐かしむだけでなく、家族が同じ時間を分かち合ってきたことをもう一度確かめ合う営みでもあります。一枚の写真をきっかけに広がる会話は、世代を超えて家族をつなぎます。
次にご両親に会うとき、押し入れに眠っている古いアルバムをぜひ一緒に開いてみてください。「この旅行、覚えてる?」。その一言から、忘れかけていたたくさんの物語がきっとあふれ出してきます。