ご両親が年を重ね、なにかと支えが必要になってくると、「きょうだいで、どう協力していくか」という課題が浮かんできます。近くに住む一人にばかり負担が偏ったり、お金や方針をめぐる考えのちがいから気まずくなったり ── きょうだい間のことで悩むご家族は、決して少なくありません。
親を支える営みは、長く続きます。だからこそ、誰か一人が抱え込むのではなく、きょうだいで役割を分け合い、支え合う体制を整えておくことが大切です。本記事では、きょうだいが協力して親を支えていくための、話し合いの工夫をご紹介します。
まず、現状を「みんなで知る」ことから
きょうだいで協力する第一歩は、親の今の暮らしぶりを、全員が同じように知ることです。近くに住むきょうだいには見えていることも、離れて暮らすきょうだいには伝わっていない ── そうした情報の差が、すれちがいの元になります。
「最近、こんなことがあった」「こういう手助けが必要になってきた」と、まずは現状を率直に共有しましょう。離れていても、メッセージアプリのグループを作って、気づいたことを書き留め合うだけで、きょうだい全員が同じ絵を見られるようになります。
役割を、できる形で分け合う
支える役割は、必ずしも均等である必要はありません。近くに住む人は日々の様子を見る、遠くに住む人は手続きや調べものを引き受ける、お金の面で支える人もいる ── それぞれの暮らしや事情に応じて、無理のない形で分担するのが現実的です。
大切なのは、「できることを、できる人が」という姿勢です。距離や仕事の都合で直接動けないきょうだいも、電話で親の話し相手になる、情報を集める、費用を分担するなど、関われる形は必ずあります。一人に負担が偏らないよう、折にふれて分担を見直していきましょう。
感謝とねぎらいを、言葉にする
きょうだい間のわだかまりは、多くの場合「自分ばかりが負担している」「やって当たり前だと思われている」という思いから生まれます。これを防ぐ何よりの方法は、お互いへの感謝とねぎらいを、こまめに言葉にすることです。
「いつも近くで見てくれてありがとう」「調べてくれて助かったよ」── そのひと言があるだけで、支える側の気持ちはずいぶん報われます。直接動けないことに引け目を感じるきょうだいも、ねぎらいの言葉をかけ合うことで、対等な仲間として支え合えるようになります。
お金のことは、早めにオープンに
親を支えるうえで、お金の話は避けて通れません。けれども、あいまいにしたまま進めると、あとで不信感やもめごとの種になりがちです。かかった費用は記録しておき、誰がどう負担するかを、早い段階できょうだい全員で話し合っておきましょう。
親自身の蓄えや年金で賄える部分、きょうだいで分担する部分を、できるだけ「見える形」にしておくことが、後々の安心につながります。判断に迷うことや、相続にも関わる込み入ったことは、自治体の相談窓口や、必要に応じて専門家の力も借りながら進めると確実です。
親の気持ちを、まんなかに置く
きょうだいで話し合っていると、つい「どう支えるか」という段取りに気を取られ、肝心の親本人の気持ちが置き去りになることがあります。けれども、支えられるご本人にも、「こう過ごしたい」「これは自分でやりたい」という思いが必ずあります。
何かを決めるときは、まず親自身の希望に耳をかたむけること。ご本人の「こうしたい」を中心に置けば、きょうだいの足並みも自然とそろいやすくなります。親の希望をあらかじめ聞き、書き留めておく「介護希望書」のような形は、きょうだいで支えていくうえでの、共通の道しるべにもなります。
きょうだいで親を支えることは、ときに難しさもともないますが、力を合わせれば、一人で抱えるよりもずっと心強いものです。現状を分かち合い、できる形で役割を分け、感謝を言葉にする ── その積み重ねが、親を支え、きょうだいの絆をも保ってくれます。
Norolu は、ご家族が親の思いを受け止め、支え合っていくお手伝いを続けています。ご本人の希望を書き留め、家族で分かち合う ── そんな対話のきっかけを、これからもそっとご用意してまいります。