カランコロンと下駄の音を鳴らしながら、路地を駆け抜けていった子どもの頃。少し高い竹馬に乗って、そろりそろりとバランスをとりながら歩いた日のことを、覚えていらっしゃる方も多いはずです。はきものひとつで、外はいくらでも遊び場になりました。
今の子どもたちは、スニーカーをはいてキックボードにまたがったり、公園の遊具ではしゃいだりしています。道具やはきものは変わっても、外で体を動かして遊ぶ楽しさは、昔も今もきっと同じ。竹馬や下駄の思い出をたどりながら、今の外遊びと並べてみましょう。
竹馬とキックボード・バランスバイク
竹馬は、二本の竹に足をのせる横木をくくりつけただけの、素朴な遊び道具でした。最初はぐらぐらして、なかなか乗れません。それでも何度も挑戦するうちにコツをつかみ、少しずつ高い足場でも歩けるようになっていきました。乗れた瞬間の得意げな気持ちは、今でもよみがえってくるものです。近所の子と『どっちが遠くまで歩けるか』を競った方もいるでしょう。
今のキックボードやバランスバイクは、ハンドルがついていて手軽に乗れますが、体でバランスをとって前に進む楽しさは、竹馬とどこか通じるところがあります。
下駄とスニーカー・サンダル
下駄の音は、夏の夕方や縁日にはよく似合いました。歯の高い下駄で駆けると、リズミカルな音が路地に響きます。鼻緒がすれて痛くなったり、片方が脱げて転びそうになったりしながらも、みんな器用に走り回っていました。雨あがりの水たまりを、下駄でわざと踏んで音を立てた記憶がある方もいるかもしれません。
今の子どもたちのスニーカーは、マジックテープでとめられて走りやすく、サンダルなら夏でも涼しく過ごせます。はきものは軽く便利になりましたが、あのカランコロンという音の心地よさは、昔ならではのものでした。
手作りの竹馬と市販の遊具
父親や近所の大人が、山や竹やぶから切り出してきた竹で竹馬をこしらえてくれる。そんな光景も、昔はめずらしくありませんでした。足をのせる横木の高さを少しずつ上げてもらい、腕前が上がるのがうれしかったものです。空き缶にひもを通した『缶ぽっくり』を手作りして遊んだ方もいるでしょう。道具を自分の手でつくるところから遊びが始まっていました。
今は、丈夫で安全に配慮された既製品のおもちゃや遊具がそろっていて、すぐに遊び始められます。手作りの味わいと、既製品の手軽さ。それぞれに良さがあって、思い出の色あいも少しずつ違うようです。
空き地・路地と公園・広場
家の前の路地、原っぱ、建物の間の空き地。子どもたちは、そうしたどこにでもある場所を見つけて、思い思いに遊びを始めました。竹馬の練習をしたり、下駄で追いかけっこをしたり、地面に線を引いてけんけん遊びをしたり。日が暮れて『ごはんだよ』と呼ばれるまで、時間を忘れて遊んだものです。
今は、遊具や広い芝生のある公園、地域の広場が子どもたちの集まる場所になっています。安全に見守れる場所が整っている分、遊びの舞台は変わりましたが、友だちと一緒に外で過ごす時間の楽しさは、昔も今も変わりません。
下駄・草履とスニーカー・運動靴
遊びのときだけでなく、家の周りへの用事や近所へのおつかいにも、下駄や草履をつっかけて出かけたものです。玄関先にそろえて脱いだ下駄、鼻緒の色や柄にちょっとしたおしゃれを楽しんだこと。はきものは暮らしの一部として、すぐ手の届くところにありました。
今は、走りやすく足になじむスニーカーや運動靴が普段ばきの中心です。子どもたちは軽い靴で元気に走り回っています。はきものが移り変わっても、そのときどきのはきもので外を楽しんできたことに、変わりはないのですね。
竹馬に乗れた日の得意げな顔、下駄のカランコロンという音、日が暮れるまで遊んだ空き地の風景。はきものや遊びの道具は、時代とともに姿を変えてきました。今の外遊びと並べてみると、変わったものと、変わらないものの両方が見えてきます。
『竹馬、乗れたよ』『下駄で走ると気持ちよかったね』。そんな一言から、家族の会話がふくらんでいきます。お子さんやお孫さんに、昔の外遊びのお話を聞かせてあげてください。なつかしい思い出を持ち寄って、ゆっくりと語り合うひとときを楽しんでいただけたらうれしいです。